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コンちゃんは永遠のともだち
ぼくの実家(和歌山県田辺市)には、なんと、野生のキツネ(おす)が飼われていたんだよ。
名前はコンちゃん。名づけ親はおばあちゃん。動物好きなお父さんがもらってきて、熱心に芸を教えたので、たった二ヵ月で水泳もできるようになったんだよ。
コンちゃんの食事は一日二回、おばあちゃんがつくるおかいさん(おかゆ)。油あげも好物で、魚をゆでるとよろこんで食べました。
ぼくが飼っていた犬のメリーとはとてもなかよしになって、外に出かけるときは、お父さんの自転車のカゴにいつも二ひきいっしょにのりました。
海へ行って、コンちゃんとメリーは水泳しましたが、よく似た泳ぎかたで同じくらいの速さでした。
コンちゃんは、つかまったとき、猟のワナで左前足の先を切ってしまったので、ひょいひょいした歩きかたで波からとびだしてきました。それから権現さん(神社)のタイヤブランコにのったりして遊びました。
コンちゃんをもらったばかりのころ、ぼくのお父さんは、夜になるとコンちゃんを権現さんにつれていって芸を教えました。キツネは昼ねて夜起きている動物だからです。いつのまにか、朝七時ころ起きて、夜八時ころねるようになってました。
コンちゃんの姿をみると、子どもたちがワァーととりかこみましたが、だれがなでたり抱いたりしても平気でした。どんなことがあってもしからなかったので、コンちゃんは人になつくようになっていました。
ぼくのお父さんが、「コンちゃん」と呼ぶと、「カッカッカッ」と笑うような声で返事をしました。これだけは、ふしぎに、ほかの人にはけっしてしませんでした。
コンちゃんがいなくなってからだいぶ経つけど、きっとたくさんのひとたちの記憶の中で元気に生き続けているとおもうんだ。
コンちゃん、素敵な日々をいっしょに過ごしてくれてありがとう。
そして、やすらかに眠ってね。 |